文中のS君(受講当時中学1年)は、お世話になっている会社社長の息子さんで、自分が初めて記憶術を教えた生徒です。

 彼はとにかくサッカーが大好きで、中学のサッカークラブの練習でクタクタになって帰ってくるため、家であまり勉強ができず、ご両親からも「サッカーもいいけど、もっともっと勉強しなさい」と再三叱られていたところへ、「何か勉強時間を減らして成績を上げる方法を教えてくれるという人がいるがやってみる?」という話に、「そんなうまい話が...」と思いながらも「うまくいってサッカーの時間が作れるなら」と思い、やってくれることになりました。
 はじめて教えた当日は、慣れないこともあってか緊張して40分以上の講義内容を慌てて十数分でしどろもどろに喋ってしまい、ポイントは抑えつつも内容はボロボロで講義としては大失敗でした。

 2回目の成果確認に向かうときは、「あんな内容ではよくわからなかっただろう、申し訳なかったなぁ。うまくできただろうか」と心配しながら彼の自宅を訪れました。
 結果は、こちらが驚くほどの授業内容を記憶して語ってくれて大成功でした。
 信じて安達式記憶術をやってくれたS君と、しっかりとした教育プログラムを開発してくださった安達先生に心から感謝しました。

 後日、仕事の打ち合わせで会社に行った際、奥様にお会いして調子を伺ったところ、「以前は少しは家で勉強していたが、今はまったく勉強しなくなった」と言われ、内心「これは困った」と思いましたが、「成績はどうでしょう?」と尋ねると「以前より少しだけど上がった」と言われ、奥様の複雑な表情に喜んでいいやら悪いやら.....

 今回の新聞社の取材で久しぶりに会ったとき、彼は中学2年でクラブのキャプテンになっていました。奥様から聞いていた話を彼にしたところ、「ちゃんと記憶術はやっていて、あとは本気で勉強すればいつでも成績を上げる自信はあるから大丈夫。だから、今はサッカーに集中したい」と、こちらが逆に妙な説得をされてしまいました。

 ただ、インタビューに答える彼を見ていた安達先生から「多くの生徒を教えて来た経験から、彼は自分なりにちゃんと創意工夫をしてやっているからまったく心配ない」と言っていただいた時、やっと肩の荷が下りた気がしました。(竹林)

朝日新聞掲載記事
富山県射水郡の中学2年のS君
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